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個人アプリ開発 初心者が1年間で得た「開発/集客/運営」全知識

「たった2週間でアプリが作れる!」「未経験から2ヶ月でアプリをリリース」「3日で作ったWebサービスが大ヒット!」みたいな話が好きな皆さま、おはにちばんわ!

そんなノリで、いつもはWeb集客の話を真面目に書いてるブログですが、ようやくアプリ開発が落ち着いたので、1年の頑張ったアピールを全力で公開してみようかなと思いました次第です。(苦労話)

思いの外、ブクマ数が伸びて驚いてるのですが、暇つぶし程度に読んで参考にしていただければ幸いです。

Outline

まずは完成品を

2018年の暮れに「アプリを作ろう!」と思い立ち、2019年7月に正式リリースにたどり着きました。はじめて開発したアプリなので「ほらガッカリだろ?」と言わんばかりのシンプルなチャットアプリです。

「チャット」というだけで中身も見ずに「出会い系」とか言われるのは心外ですが、逆にそうした認識が広がるくらいに出会いを求める人は他に使いやすいアプリがあるので、プロフィールもなく文字だけのやりとりしかできないアプリは「つまらない」と感じて立ち去ってくれることもあり、純粋なチャットを楽しむことができます。(とは言えくるもの拒まずなので変な人も紛れ込みますが)

個人サイトの延長線上みたいな感じで運用していて、自分自身も楽しめる場にしたいので、管理人としてチャットにも参加するし、個人色を強めに出しています。

ネガティブとポジティブが相入れない感じは匿名のインターネットなので仕方ないところかもしれませんが、普段はアスキーアートが飛び交ったり、中身のない会話が繰り広げられることもあるので、「いかに無駄を楽しめるか?」と言ったところに理解があれば面白いと感じていただけるはずです。

Twitterを開けば、出口のない持論が繰り広げられてるのにうんざりしていたのとは裏腹に、「ドロリッチなう」とか言ってた時代に戻り「コンビニのアレが美味しい!」みたいな、みんなの他愛ない日常を知ることができるコミュニティになりつつあります。

1000人くらいの規模の小さなコミュニティですが、現在「ぬか床」がブームになってます。ぬか漬けについて延々に話せる人が集まると嬉しいのでぜひ遊びに来てください。

持ち合わせたスキル

まず初めに断っておくと、ガチのWebスキル無しで、本当に数週間から数ヶ月でプログラムを学びアプリをリリースできるのは、ごくわずかに限られた一部の天才のみです。

自分自身、手の施しようがないくらい頭が悪いと思ってるので、他人の100倍くらい努力する意気込みで挑まなければ、プログラミングなんて覚えられないと思ってる部類の人です。

かれこれ20年以上前にBASICマガジンを片手に紙面からパソコンに文字を丸写しで打ち込み画面に表示された●を動かすくらいで挫折し、CGIの本を買ったものの全く理解できず、CSSが無い時代にHTMLはなんとか習得したものの、趣味のホームページ作りレベルで特に実用的なスキルを身につけるわけでもなく、黒歴史として闇に葬られました。

ようやくプログラムらしいものを理解したのは10年ほど前のガラケー時代。運よく未経験でもアルバイトで入社できた如何わしいガラケーサイトを作るお仕事の中でPHPに触れる機会があり、なんとなくプログラムとはどういうものかわかってきた感じです。

その後も縁あってWeb業界で働き続け、ガラケー時代には必要なかったCSSの知識もBootstrapに触れたり、デベロッパーツールでCSSをその場で編集して学びやすくなったことなどもあり、「既存のコード」があればそれなりに世に送り出せるウェブサイトを作れるようにはなりました。

Web業界で本職として10年以上の経歴があるので、コーディング以外のスキルでも、Photoshopの簡単なデザインスキルや、SEOや広告運用の集客スキル、さらにはコミュニティの運用ノウハウや、個人事業主としてのちょっとした経営スキルも持ち合わせていますが、そんな話をしているとアプリ開発の話に永遠に辿り着けないので割愛します。

簡単にまとめると、「開発」「集客」「運営」の知識を、広く浅く持ったオールラウンダーです。

開発環境

さて、「アプリを作ろう」と思ったらまず考えなければならないのは開発環境です。ちょうど1年ほど前に、持ち合わせたスキルをもとに、「少ない学習コストでアプリを作るには」と悩んでいた時に出会った、HTML5とJavaScriptでアプリ開発ができる優れもの、それがMonacaである。

iOSアプリを作るには「Macを買うところから」なんて事もなく、Webブラウザがあれば開発を始めることができます。iPhoneとAndroid向けのアプリを同時開発できるので、ちょっとしたWebサービスをアプリで展開するならば扱いやすい開発環境です。

「App StoreやPlay Storeに並べることができれば勝ち!」と、浅はかに思っていたこの頃は幸せでした。

Monaca

いくつか似たような開発システムはあるのですが、すんなりと馴染んでリリースまでたどり着けたので他は試してません。

Bootstrapに慣れ親しんでいる人なら扱いやすい、Onsen UIというフレームワークでアプリのUIを作ることができます。HTMLベースなので、jQueryなどのフレームワークを使ってアプリの「動き」を作ることができます。聞き慣れない名前かもしれませんが、Cordovaというプラグインでカメラなどデバイスのネイティブ機能を利用することもできます。

ただし、Monaca特有のクセもあるので、全力でおすすめできるかと言うと少し首を傾げます。基本的にはテンプレートを参考にカスタマイズすることができれば使いこなせるのですが、シングルページアプリケーションなので、HTMLとは少し違う独特なファイル構成や画面遷移の仕組みに躓きます。

無料トライアルでもリリースするまで十分に使い倒すこともできるので、気になるなら迷うより触って見た方が早いかと思います。

ちなみに、リリースするためのアプリのファイルを作るのを「ビルド」と言うのですが、無料プランでは1日3回のビルド回数の制限があります。実際にリリースするまでは「令呪をもって命ずる」と言いながらビルドしてました。(24時間で回復するFGO方式)

WP REST API

Monacaで基礎的な構造は作れるのですが、アプリに必要なのは「コンテンツ」です。
最初はWordPressのブログをアプリ化してストアに並べれば、新しい集客チャネルとして使えるんじゃね?くらいに舐めてかかってました。実際に記事を読むだけのアプリもあるので大丈夫だろうと…

そして辿り着くのが「WP REST API」です。JSON形式でブログ記事の情報を読み込むことで、アプリ内のコンテンツに組み込むことができます。

ちょっと調べるとMonacaを使って「iframeでブログを10分でアプリ化する方法」といった古い記事も見つかりますが、現在はうまく動かず、さらには後に語るリジェクト地獄によってそんな夢は打ち砕かれます。

記事が充実していれば大丈夫かも知れませんが、Appleの基準では「Webサイトで実現できること」だけでは審査に通りません。あくまでもアプリ外部のデータを利用してコンテンツを作る手法の一つの概念として頭の片隅に置いておくと、いろいろ活用方法が思いつくかも知れません。

記事のブックマーク機能などアプリ側でしか動かせない機能をつければ審査に通るらしいですが、最終的にWordPressをアプリ化してApp Storeに並べることは断念しました。

余談ですが、WordPressを設置しているサーバーの設定によっては、海外からのアクセスをブロックしているので、Appleの審査時につまづくような事件もありました。

Firebase

もう一つ、開発環境で重要なのが、データベースを利用したり、プッシュ通知を実装するのに必要なバックエンドサービスです。

Monacaではニフクラと言うサービスとの連携もされているのですが、グローバルスタンダードで先人の知恵も多く、応用が効きそうな「Firebase」を利用することにしました。

「サーバーレス」と言う概念は実に面白く、LAMP環境で実装しているようなことをフロントエンドだけで行う「制限された環境」がとても好みで、意地でもHTMLとJavaScriptだけでも極めてやろうと言う意思が強くなりました。(遠い目)

実は、Realtime Database くらいしか使ってないので、まだまだ未知の世界です。

デバッグ環境

スマホアプリは当然のことながら実機テストが必要です。MonacaはHTMLに近くブラウザで大まかな動作確認ができるとは言え、iOSとAndroidではOSに依存した挙動が違う部分や、読み込むCSSが違うことで、シミュレーター環境だけではわからない事もあります。

実機を持っていなくても動作がおかしいところはユーザーからの報告で気がつく事はありますが、レイアウトや表示のバグは、意図してそういうデザインになってると思われる事もあり、ユーザーからの報告では気がつけない事が多いです。

実際に、iPhone 8シリーズでツールバーの余白の処理の兼ね合いで上部のメニューが無駄に広かったりしたのですが、自分で気がつくまで数ヶ月はだれも教えてくれませんでした。

iPhoneだけならば、手持ちの実機で動けば何となく全機種で動くはずですが、Androidになると大量の機種があるので個人では全ての端末の動作確認を行うのは難しいです。
最低限でもiPhone X系、8系(またはSE)、Android1機種、の3台は欲しいところです。
(おかげでガジェオタ熱が再燃してます。笑)

イニシャルコスト

先にちょっとお金の話。パソコンやスマホを持っていることが前提ですが、アプリを開発するだけなら、意外とお金はかからず、配布する時になって、少しお金が必要になります。

Apple デべロッパー登録 12,744円
Google デべロッパー登録 $25(2,825円)
公開用スクショ作成 一枚 $2(236円)


合計 15,805円(2018年12月 時点)

デベロッパー登録

登録方法や詳しい説明は、調べるといろんな人が書いてくれてるので割愛しますが、アプリの開発準備や、ストアで配信するにはデベロッパー登録が必要です。Appleは年会費、Googleは初回のみ費用がかかります。

Apple Developer Programの管理画面は全て英語なので、英語がわからないと苦労しますが、Monacaの場合は公式ドキュメントが用意されているので、読みながら進めればなんとかなるはずです。

スクリーンショット

ストアに掲載する画像は、普通のスクショでも良いのですが、それだと素人感丸出しなので、文字載せして少しデザイン性のある画像を用意します。リリース当初は海外のスクリーンショット生成サービス(有料)で1枚だけ作りました。海外のツールを使う場合は、PayPalアカウントを持っていると便利です。

現在はiPhone X系列とiPhone 8系列の画面サイズの2種類が必要になるので、「iPhone モックアップ psd」などで検索して見つけた素材を利用して、Photoshopで加工したものを利用しています。iPhone X向けのスクリーンショットではiPhone Xのフレームを利用していないとダメだったり厳しい掲載基準もあります。

ユーザーがアプリをインストールするかしないかを決める大事な「顔」なので、拘りたいところです。

リジェクト地獄

話は前後するが、App Storeでアプリを公開しようとするとぶつかる第一の壁が「リジェクト(却下)」である。

Monacaの開発環境にも慣れて1ヶ月も経たないうちに、ブログが読めるアプリとして形になったので、「とりあえず申請してみるかー」と軽い気持ちで最初のビルドを行いAppleの審査に挑みました。

結果は…

「4.2 Minimum Functionality」

ブログ記事が読めるだけの正真正銘のクソアプリ認定である。

機能を追加すれば審査に通るみたいな情報があったので、JavaScriptのコードと睨めっこしながら学び、なんとかFirebaseでチャットを動かせるようになりました。

チャットもできるブログメディアの誕生である。

それでも当然の如く突き付けられるリジェクトの通知と闘うこと1ヶ月、対象デバイスをiPadに対応するように設定していると、iPadのスクショがないと審査に通らなかったり、ユーザー生成コンテンツは利用者が投稿の通報やブロックする機能や、自由に削除する機能がないと審査に通らないなど、様々なガイドラインにぶち当たりながら修正を繰り返していましたが、「4.2 Minimum Functionality」のリジェクトから抜け出すことはできませんでした。

本業も忙しくなり心が折れた僕はあっさりとアプリ開発を諦めました。

コンセプトを練る

時は経つ事4ヶ月。

Appleが伝えたい「4.2 Minimum Functionality」の真意は「コンセプトを見つめ直せ」ってことなんですね。

それに気がついて「できる範囲の技術でコンセプトを考え直そう」と思い立ったのが6月のことでした。

そして生まれたコンセプトがこれ。

コロマリは古き良きインターネット文化を現代にそれとなく残すために作られた、文字でのコミュニケーションを中心とした雑談チャットアプリです。

WordPressのアプリ化を諦め、チャット機能だけに絞り、いくつかのチャットルームを用意して、それっぽい形になりました。アイコンを作り直し、コンセプトに続く説明文を練り、審査に提出したら思った以上にあっさりと審査は通り「配信準備完了」となりました。笑

アプリ開発者デビュー

苦節半年、実際には4ヶ月くらいサボっていたので、2ヶ月くらいの開発期間なのだけど、6月に無事に審査に通り、無事にリリースまでたどり着きました。

しかし、そこから本番!慌ただしい4ヶ月が始まりました。7月末の学生が夏休みに入る頃には全力で集客ができるように期日を定め、怒涛の開発期間に突入します。

利用者がいない事には開発のモチベーションを保てないので、広告費をかけてユーザーを集め、「ボタンのタップの反応が悪い」「投稿時間が分からない」とかのフィードバックをもらっては修正し、「アイコンの自動生成」「返信機能」「使い方の説明ページ」「お気に入り機能」などの機能を充実させたり、フォームのデザインなど細かい調整をたくさん行いました。今思うとAppleの審査通ったのが不思議なくらい当たり前のことができておらず、逆に言えばコンセプトだけでも整っていれば審査に通るのかもしれません。

ぼんやりと「古き良きインターネット」の意味合いが通じて、愛用してくれる人がちらほら出てきたので開発は捗り、知り合いに見せても恥ずかしくないレベルまで完成度が高まったのが9月末の話です。

集客

ここからは少し「ソーシャル」のジャンルに偏った部分もありますが、集客の話です。
市場にマッチしていてアプリの完成度が高ければ、何もしなくてもユーザーが集まるかもしれませんが、アプリをリリースしても宣伝しなければ、まずインストールしてもらえません。

面白いコンセプトを持っていて、自身のSNSでの影響力があったり、インフルエンサー的な知り合いがいてアプリを紹介してくれるようなことがあれば話は変わってきますが、一般人・コネなし・クソアプリの三拍子が揃っているなら、ちゃんと宣伝しなければインストールしてもらうことは難しくなります。

アプリを開発する前に「マーケットを持っておく」というのも大事なんです。

ウェブサイトの作成

個人でアプリ開発をするエンジニアは、デザインやマーケティングまではできない人が多いので、しっかり作り込めば同じコンセプトのアプリでも勝ち目はある分野かと思います。

「ブランディング」も考えておくことが重要で、アプリの名前が馴染みやすく、アプリ名で指名して検索してもらえるようになると、SEOにもなるので検索流入を獲得しやすくなります。

他社さんのアプリの集客もやっていて、違う業界でのお問い合わせフォームへの誘導率や、アフィリエイトのリンクのクリック率など、様々なデータを持っているのですが、ウェブサイトからストアへの誘導率は7%くらいあれば良い方です。しかし、コロマリでは20%を超える実績を持っています。

ASO

ASOについては、検索ボリュームのあるキーワードの選定ができれば、アプリ名とキーワードの設定くらいしかやることはありません。

ユーザーにレビューを強要したり自演レビューみたいな手法は嫌いなので、自然な形でレビューがつくのを待って、コンテンツに一番近い「雑談」や「相談」のキーワードでそこそこ上位が取れています。「チャット」はおそらくユーザー層が悪いので上位を取らなくても良いかなという塩梅で、広告からの流入キーワードを参考にしたりして、複合キーワードを狙うような調整を行なっています。

SEOにも通じることですが、「集客手法」と考えるより、情報を正確に伝える方が重要なので、スクリーンショットや説明文(特に冒頭の掴み)を綺麗にまとめる事を意識して、個人開発だからといって完成度が低く見えるような印象を与えないように気を付けています。

無料集客

程よくアプリの完成度が高まってきた頃に、Webメディアへの掲載についてまとめている記事を見かけたので、会員登録なしで掲載依頼をかけられるところにお問い合わせして、掲載してもらいましたが、あまり影響力はありませんでした。

掲載後に、他のメディア側から「掲載させて欲しい」という依頼もきましたが、直接的な集客効果はなさそうです。

Applivなど依頼をかけずに勝手に掲載してくれるアプリ紹介系のメディアもありますが、ただ「記事を公開するだけ」では意味がないのは、一般的なウェブサイトやブログでも同じことが言えます。

SEOの面ではこうしたメディアからの被リンクも有効なので、ドメインパワーを強くしたいなら長期的に見ると有効な手かもしれません。外部リンクと指名系キーワードの流入があると、色々と動かしやすくなるのですが、SEOについてはサイトの状況によってアドバイスできることが変わってくるので、ここでは詳しく話しません。

インストール広告

ただ単純にインストール数を増やすなら「Search Ads Basic」や「ユニバーサルアプリキャンペーン」を利用すると、App StoreやPlay Storeに広告を掲載することができます。アプリ側でインストール数を計測するツールを組み込まなくても、広告側とストアのデータを連動させることができるので、簡単に利用することができます。

ただし、どのようなユーザーに広告を見せるかは指定できず、ストアの掲載情報を元にジャンルやキーワードを拾ってくるので、意図的にユーザーを集めるのは難しくなります。

特にソーシャルのジャンルは出会い系のアプリが蔓延っているので、関連したアプリとして自動的にそのような利用者層にターゲティングされます。アンチ出会い厨で運用しているソーシャル系のアプリでは価値のないインストールが増えてしまいます。実際に、ユーザーがほぼゼロの状態の初期に広告を利用してみたのですが、最初の投稿が卑猥な内容だったり、出会い系への誘導を匂わすような投稿があってうんざりしました。

ユーザーが増えてチャットの話題が安定してくると、そうしたユーザーは意外と流れを見て判断しているのか、卑猥な内容は減りましたが、まれに迷い込んでくる感じはあります。

インストール単価はジャンルによってばらつきはありますが、100〜300円くらいと見ていると良いです。

ターゲティング広告

というわけで、メインの集客経路はターゲティング広告です。リスティング広告と呼ばれるものに代表されるセルフサービス型の広告は、自分で決めた予算で、どんな人に掲載するのかを決めたり、バナーやランディングページで集めたいユーザー層に直接アプローチをかけることができます。

コンバージョンデータをうまく活用する仕組みを使うと、「インストール行動」を起こしやすいユーザーにターゲティングすることができます。

Google広告、Facebook広告、Twitter広告、Search Ads Advance、の四本柱を全力で回して、約3ヶ月で100名の諭吉が帰らぬ人となりました。(さらっと爆弾発言)
個人的にリスティング広告の運用代行をやってるのでデータを取りたかったのと、アプリの利用者を増やすことで自分のやる気を駆り立ててプログラムを学びたかったので、それに見合ったコストと考えれば安いものです。

それぞれの広告からのインストールに繋がったかを調べるには、解析ツールの導入が必要なので、インストールで最適化する配信設定は利用していません。すべてランディングページを経由して、ストアへの誘導にコンバージョンを設定し、CPA(コンバージョン単価)を算出したり、アナリティクスでコンバージョン率を見たりしています。

アプリはインストールのハードルが低いので、説明を読まずにインストールする人もいます。なので、ランディングページを経由することでインストールしたユーザーの質を高めたい意図もありました。

App Store Connectでは、参照元別にストア情報閲覧数とインストール数を見ることができるので、ランディングページからの誘導後に半数ぐらいがインストールしていることがわかります。

なので広告の管理画面側で計測されているコンバージョン単価の2倍くらいをインストール単価の目安として、正確なインストール数の計測なしでも効果を把握していました。

効果的な集客になったのは、Google広告のディスプレイ広告で競合のアプリ内に広告を掲載するのと、Facebook広告でInstagramに広告を出すのがよかったです。なぜかアプリ内で「どこから来ましたー」という報告をいただけるので、狙いを定めやすいというのもありました。

ディスプレイ広告の掲載の調整は、かなりの運用ノウハウと経験値がないと意図したユーザーに表示させる見極めが難しいです。検索広告はさらに難しく、アルゴリズムを理解していないと費用対効果を合わせることはできないはずです。

Facebook広告はコンバージョンの最適化を利用することでInstagramへの掲載が優先されて、Facebookのニュースフィードはあまり表示回数が伸ばせませんでした。おそらく匿名チャットとの親和性も低いことも原因と考えられます。自動配置を利用すると、FacebookかInstagram、Audience Networkなど、アプリに合わせて適切な掲載先に配信されるので、クリエイティブさえしっかりしていれば、安心して数字だけ見ていられます。

Twitter広告はアプリとの親和性が高いように見えますが、ターゲティングの精度が低いので、CPAは高くなります。あと、最初のうちは1日100円の予算でも、毎日決済が行われるので、クレジットカードの明細が大変なことになり、経理処理がめんどくさくなります。笑

Search Ads Advanceはソーシャル系の競合に資本力のある出会い系アプリが多いので、低い入札単価では勝ち目がなく、表示の機会が少なかったり、他のアプリを平仮名で検索するようなユーザーはクリックしてもインストールに繋がらないので、キーワードを選定していくと掲載の規模が小さくなります。

それぞれ、深く話すと延々と広告の話になってしまいそうなので、需要があればまたの機会にブログにまとめます。

さて結果ですが、ざっくりとオーガニックも含めた累計のインストール数だけしか見てませんが、100万円の広告費で5,000件に満たないくらいで、1件あたりのCPI(インストール単価)は200円ちょいです。アプリが完成してない状態からガンガン広告を出していたので、リテンション率が25%くらいだとすると、ちゃんと遊んでくれるユーザーを獲得するのに1,000円くらいかかる計算です。コミュニティの色を作り上げるために、採算度外視で広告を打っていますが、割と良い実績かと思います。

広告費をかけてインストール数を伸ばすことで、レビューも獲得でき、ストアのオーガニック検索からの流入を得ることもできるので、初動を作る意味でも広告費をかける価値はあります。

うん万円とは言わず、数千円単位でも広告掲載はできるので、「お金を使う価値」を理解している人は、ぜひチャレンジしていただきたい。

ちなみに自分の持っているデータではないので詳しくは言えませんが、会員登録が必要なアプリの場合は、インストールから登録への通過率もあるので、有効なインストール単価がグンと上がります。

運用

アプリを公開して人が集まれば立派な運営者です。開発に専念してちょろっとデバッグしてユーザーの反応を見る程度の個人開発者は多いかと思いますが、実際の利用者の声や数字を見て改善をし続けることも大事です。

ユーザー生成コンテンツの難しさ

コミュニティ系のアプリは「会話」を目的としているので、インストール数を増やして人が集まるだけでは成り立ちません。

SNSのようなユーザーが投稿するタイプのWebサービスは、初動のユーザー獲得が重要になります。資本力のあるベンチャーや大手企業だったらサクラを使って利用者がいるように見せかけると言う話はよくありますが、個人開発のアプリはそうはいきません。

ブログなどでアナリティクスのリアルタイムアクセス解析を見たことがある人はわかりやすいかもしれませんが、利用者が概ね500人くらいの規模になると、日中なら常にアプリを開いている人がいる状況になり、夜間の人が集まる時間帯はリアルタイムのチャットが動くようになります。

最初のうちは、こうした規模感も公開して、「人が増えたら楽しくなりそう!」と、理解してくれる人だけを引き止めていました。

数字を見て改善する

Webの運用に慣れていて、アクセス解析を眺める機会が多かったり、会社でKPIとか設定して仕事しているならば、なんとなく掴める部分かと思いますが、アプリの運用はインストール数など見た目の数字だけを見ていても改善できません。とは言え分析体制を整えるには実装方法を調べたり、有料のツールを使わなければならないので難しいことが多いです。

また、単純に利用者の要望だけを聞いて、改善案を検討するとアプリのコンセプトがブレたり、無駄な機能が増えて扱いにくくなることもあります。

Firebaseのデータ転送量と広告のインプレッション数で日々のアクティブユーザーの規模感を見て、アップデートの統計でその時点のユーザー数を把握していました。App Store Connectの「リテンション率」と、メトリックスの「削除(アンインストール数)」を重視して、改善を行いました。Appleへのデータ共有を許可している一部のユーザーの統計しか取れませんが、それでも十分に改善の効果を測ることができます。

どんなアプリでも好みに合わなければ1日も経たずにアンインストールされるので、10日後には9割の人が利用しなくなると考えた方が良いです。そうは言っても一度興味を持ってもらった以上は楽しんでもらいたいので、リテンション率はこまめにチェックしています。

9月にアプリの構成が固まった時点で、1日目のリテンション率が50%になる日も出てきて、順調なペースと言えるようになりました。平均すると1日目は30%から7日目で8%程度になります。

世の中のチャットアプリが腐りきってるということもあり、稀に出会い厨が迷い込んできたり、匿名で言いたいことだけ吐き捨てて行きたい人もいるので、コミュニケーションがうまく取れない人もいたりで、万人にウケるアプリではないとわかっていたので、最終的には数字ではなく「楽しんでる人」が残っている点だけを重視して割り切ってます。

ユーザー同士のコミュニケーションの場なので、時には場の空気が悪くなることもあり、そうした日のアンインストール数に注目して、禁止事項を呼びかけたりするなどして、チャットのルール調整を行ったりもしています。

Androidは管理画面側で見ることができるデータが少ないので、Google Play Consoleを開いた時に表示される「有効なインストール数」で規模感を見るだけにしています。

文字が読めない人

ほとんどの人はわかりやすいUIで説明をしっかりしていれば、ユーザーはアプリを使いこなせると思うと考えるかと思いますが、世の中には信じられないくらい文字が読めない人がいます。笑

説明書のような長文ではなく、数文字のアンカーテキストでさえ読めない人もいるくらいです。中には何も言わなくても理解してくれる人もいるので嬉しい時もあります。

文字だけの世界で文章が読めないのは致命的だとは思うのですが、こちらから押し付ける意図を行間から読み取って欲しいと思うのは無理な話だとは思っています。会話をしても分かり合えないこともあるので、その辺は割り切らないとやっていけません。

アクセシビリティ

説明文を読めない人もいるというのに、中には目が見えなくてもチャットを楽しんでいる人もいます。スマホの進化はすごいもので、画面読み上げと音声入力があれば、アプリを利用することもできます。

普通のアプリであれば、機能面で必要な表記で余分な文字が多く、画面の読み上げが難しくなりますが、コロマリは当初からシンプル設計だったので、奇跡的に全文読み上げでも利用することができ、アプリをインストールして名前を設定すればチャットに参加できることもあって、スムーズに楽しめるようです。

MonacaはHTMLベースなので、VoiceOverやTalkBackにちゃんと対応できないもどかしさはありますが、Bootstrapの「sr-only」のclassで、画面上には表示させずに読み上げ時のみに読まれる文章を差し込むことができます。ちょっとした気遣いでも利用しやすくなりました。

利用規約とプライバシーポリシー

個人運営なのでコピペで雑に運営しても良いかと思うのですが…簡単な質問に答えるだけで弁護士が監修したプライバシーポリシーと利用規約を生成することができるジェネレーターがあるので、使ってみるのをおすすめします。
※2022年5月追記

収益化

基本的に収益を上げるには「アプリ販売」「アプリ内課金」「広告収入」しか選択肢はありません。ネット上には儲かってる情報しか流れないので勘違いしがちですが、現実は厳しいものとなります。

Firebaseはデータ転送量などの従量課金制なので、取り扱うデータ量と利用者数のバランスを取れば、無料枠で収まり、サーバー費用に対して広告の収益が上回れば赤字にはならないので小規模な段階で収益化の見込みを立てられると理想的なのですが…最初から黒字運用は難しいかと思います。

有料プランに切り替える前に、Google Cloud Platformの登録を行なっていると、無料クレジットを付与してくれるので、利用者の増加ペースが早い場合は、うまく活用すると少し調整期間を引き伸ばすことができるかもしれません。

Monacaで実装しやすい広告枠はAdMobとAd Generationがあります。AdMobは代理店権限のMMCアカウントと紐つけてる兼ね合いで登録するのが面倒だったので、Ad Generationを利用しています。

AdMobはGoogle AdSenseのアプリ版のような感じで、Ad Generationは、SSP(Supply Side Platform)と呼ばれる、1つのタグで複数の広告ネットワークを掲載できる仕組みです。

有料アプリにしたり、アプリ内課金を利用する場合は、「特定商取引法に基づく表記」が必要なため、住所や連絡先を晒すことができなければ、課金で収益をあげることはできないので注意が必要です。

ビジネスモデルを考える

私の本業は広告屋さんで、個人開発のプログラマーや一般的な企業にはできないお金の使い方と収益に対する考え方を持っているので、なんの参考にもならないかも知れませんが…

自分自身を含め、人を動かすにはお金が必要です。どうやって資金を集め、利用者は何に対して対価を払うのかを考えなければなりません。アプリの利用者が増えれば、ランニングコストは絶対にかかるものなので、最低限でも運営を維持する費用は守らなければなりません。

「教育サイトに踊らされてるんじゃないの?」とか言われていますが、全くそんなことはなく、人生の集大成とも言える最強のポートフォリオを作るのに、アプリを個人開発する必要があり、外部委託する費用や、「アプリの利用者がいる」と言える状況を作るのに、適切なお金と時間を考えて行動しています。「アプリは儲からない」とも言われますが、広告収入に期待していることもありません。(ビジネスモデルがばっちりハマれば儲かるだろうし、世の中にはちゃんと収益を上げている人もいます。)

個人でできることには限界もあるので、この実績を持ってBtoB取引に繋げた方がよっぽど面白いことできますから!費用対効果ばかり気にして身動き取れなくなったり、目先の収益だけ考えてると何も成し遂げられませんよ、とだけ言っておきます。

アプリ開発者を目指す方へ

アプリ開発なんてしたくないと思いましたか?(いかがでしたか風に)

こうして思い立ってからアプリ開発者として話ができるようになるまで約一年かかりました。それでもウェブサービスのアプリ化くらいのレベルで、本当の意味で「アプリ開発」と呼べるような代物ではありません。独学で学ぶと言っても、かなりの覚悟と膨大な時間、場合によってはお金もかけなければ、良いものは作れません。

ほんの少しでも「学び」を提供できるようであれば、気が向いた時にアプリ開発についても記事を書いていくので、ブログを購読してもらえると嬉しいです。Twitterでも情報は小出しにするかと思うので、ぜひフォローしてください!(ノイズの方が多いかもしれませんが)

アプリ集客にお困りの方へ

そんなこんなで本業のご案内です。

アプリのインストールを促す広告はもちろん、その他の業種の広告運用代行や集客のご相談を承っております。開発、運用、集客の知識を持った人材を探して雇用するのは難しいし、求人をかけるより圧倒的にお安くなっています。笑

何か感じるものがあれば、お話だけでも聞きますので、まずはお問い合わせください。来年は法人化したいし、広告費使いすぎてお金がありません。お仕事ください。(切実)

アプリ広告 運用代行

そんなこんなで2019年12月に法人を設立しました。広告運用代行を中心に、SEOなどのウェブマーケティングを含む、コンサルティングサービスを提供しています。アプリ広告の運用代行サービスも行っております。お困りごとがあればご相談ください。

追伸

反響によっては加筆修正と記事の追加を行なっていきます。

ブコメなどで、それとなくアピールしてください!

そして、古き良きインターネットを愛し「楽しい雑談」ができる人は、アプリをインストールして遊んでいただければ幸いです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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